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今は、すべての中堅・中小企業が株式公開をめざす時代といえます。
店頭登録が、株式公開を中堅・中小企業にも手の届くものにしました。
第三次公開ブーム以降の最大の特色は、店頭登録による株式公開が上場以上に大きな割合を占めてきたことです。
そして、このような経済潮流を背景に、中堅・中小企業の株式公開を支援する証券取引所、証券業協会、証券会社、ベンチャー・キャピタル、金融機関、監査法人(公認会計士)等の体制が、以前とは比べものにならないくらい整備されてきました。
官・民こぞっての支援体制といってもよいでしょう。
中堅・中小・ベンチャー企業にとって、これだけ株式公開への環境が整ったことはかつてありません。
このことも過去の公開ブームとまったく異なる特色といえます。
毎年、新規公開会社として華々しくデビューするのは氷山の一角であり、水面下ではその何倍もの会社が公開の準備をしているわけです。
これらが、今後続々と公開を果たしてくることは必至です。
証券不祥事による余波を受け、新規公開が停止されたことはありましたが、バブル経済崩壊以降も、着々と新規株式公開企業がデビューしています。
その時々の経済状況の波風により、様々な形で影響を受けてはきましたが、株式公開制度は日本経済に完全に根をおろしたといえるでしょう。
昭和五十八年の規制緩和で登録基準が緩められたうえに、資金調達面の魅力が出てきたことから、店頭市場はにわかに活性化してきました。
表1-1のように昭和六十年頃から新規登録会社が増え始め、昭和六十三年には五十三社、平成元年には七十三社、平成二年には八十六社平成三年には九十五社、平成六年から九年までは百社を超えています。
また、店頭登録銘柄の数が増えるに従って売買高も増え、平成二年から激増し、平成六年以降はさらに倍増しています。
ただし、平成九年からは半減してしまいました。
昭和六十三年、川崎市を発端として政界まで巻き込んだ「リクルート事件」が発生しました。
リクルート事件は公開前に低廉な価格で未公開株を譲渡し、公開後に多額な値上がり益を享受させるという方法による、いわば株式公開制度を悪用した汚職事件であったことに特徴があります。
当時は、株式公開により未公開株は必ず値上がりするという「公開株神話」が生きていた時代でした。
リクルート事件の報道を通して、未公開株が公開により大きな価値を生むことが広く知られるようになり、株式公開という言葉が一般用語となったのは皮肉なことでした。
このようなことから、新規公開株取引に対する社会一般の不公平感の一掃を目的として、証券取引審議会は昭和六十三年十二月に、「株式公開制度のあり方について」という答申を行いました。
これを受け平成元年二月に、日本証券業協会が「株式店頭市場の改善要綱」を策定しました。
この要綱には、「入札制度の導入」をけじめ、次のような改正がありました。
店頭登録前の特別利害関係者等の株式移動については、一定期間、原則として禁止されていましたが、この禁止期間の始期をそれまでより一年間繰り上げ、「登録申請日の直前決算期日の二年前の日の翌日以降登録までの間」に改められました。
また、第三者割当増資等についても、制限期間の始期を一年間繰り上げ、「登録申請日の直前決算期日の二年前の日の翌日以降一年六ヵ月を経過するまでの間」に改められました。
さらに、割当先に対しては、店頭登録日から一年を経過する日までの継続保有が義務づけられたほか、登録前一定期間の株式移動および第三者割当増資の割当先等に関して詳細な開示を義稗づけ、公開前の株主政策をいわば“ガラス張り”にしました。
公開方式の多様化と公開株式数の拡大これまでの「売出し」または「売出しおよび公募増資」のほか、「公募増資」のみの公開を認め、売出しと公募の「併用方式」の公募株数の制限も廃止され、公開方式の多様化が図られました。
また、公開株式数についても最低三十万株から五十万株に拡大されました。
店頭登録申請会社の審査は、主幹事証券会社の引受審査部によって行われていますが、このような審査体制を平成元年四月以降は、主幹事証券会社の審査に基づく申請を基本としつつも、証券業協会が「登録審査室」を新設して、必要に応じて登録申請会社に対して直接事情の聴取または資料の徴求を行うことができることとして、証券業協会の審査機能が強化されました。
このような改正を経て、店頭市場は次第に、発行市場としても流通市場としても、取引所市場と遜色のない市場に発展してきました。
また、証券取引所上場ができる資格要件を満たしていても、上場でなく店頭登録を選択する会社も増えてきました。
徐々に二流のイメージは薄まり、店頭市場は取引所市場の補完的市場というよりは、株式公開の選択肢として、上場と並列した「独自の市場」として位置づけられるようになってきました。
ところで、店頭市場における投資は、発行株式数や流通量が少ないことなどから値動きが激しく、取引所市場における投資に比べて相対的にリスクが大きいため、投資家の自己責任がより強調されます。
このため、店頭銘柄の売買をするときには、投資家は「店頭取引に関する確認書」を取り交わすことになっています。
証券会社の勧誘も、株式投資に相当の知識と経験があり、資産の状況から判断して店頭取引を行うことが適当と見られる顧客に限られます。
つまり、店頭市場は、リスクをわきまえた人が選択する市場という性格を持っています。
一方、取引所市場の方は素人でも安心して参加できる市場と考えられます。
このように投資家の側からも、店頭市場は取引所市場とは性格の異なる「独自の市場」となっています。
投資家から見れば、ハイリスクではあってもハイリターンが期待できるとか、成長性があり大幅な値上がり益(キャピタルゲイン)や株式分割(無償増資)が期待できるとか、投資する側の選択の余地を広げる店頭市場に対する期待は高いといえます。
店頭市場では、未完成ではあってもキラキラと光るものを持っている会社が続々と登場してきて、「成長力がある、わかりやすく、魅力的な市場」というイメージが定着してきました。
バブル経済の崩壊とともに日本経済の長期低迷が始まりました。
大企業の経営にかげりが見え始め、急速な円高の進行、製造業の海外移転等により日本経済の空洞化が深刻となってきました。
このような日本経済の閉塞状況を打ち破るものとして、起業家精神にあふれた成長志向の中堅・中小企業、ベンチャー・ニュービジネスへの期待が次第に高まってきました。
しかし、これらの企業が企業規模を拡大するために銀行借り入れを行おうとしても、物的担保の制約があります。
ベンチャー・キャピタルから投資を受けようとしても、平均して株式公開まで三十年近くもの年数を要する状況では、スタートアップ段階の企業への投資は事実上困難でした。
これらの企業の資金調達の円滑化を図るため、資本市場、とりわけ株式店頭市場の改革が急務であるとの議論が盛んに行われるようになりました。
また、投資家サイドからも成長力の高い中堅・中小企業、ベンチャー・ニュービジネスを待望する声があがってきました。
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